【幼稚園生の頃から夢は「ボクサー」】
よろしくお願いします!
こちらこそ、よろしくお願い致します。今回は、FtM・FtXの方々とキックボクシングの練習会を行なっていると聞いて、取材させて頂くことになりましたが、まずは、団体発足のきっかけを教えて頂けますか?
どこから話せばいいですかね(笑)
元々、幼稚園の時からの夢がボクサーだったんです。兄貴の部屋で「はじめの一歩」を読んだのがきっかけで。そういうのあるじゃないですか(笑)
(笑)
それから、高校3年生くらいの時に、女性としてキックボクシングを始めました。
でも、やっていくうちに「女子としてのプロボクサーは自分の夢ではない」と思うようになりました。そこで、一旦辞めてしまったんです。
それから、21か、22の時ですかね。パス度も上がって来たので、男性としてキックボクシングジムに入会しました。
2回目のチャレンジは如何だったのでしょう?
最初は楽しいけれど、次にチャレンジ出来ない、次に目指す場所はどこなんだろう?と。そのまま、辞めてしまって。SOLUNA ESPERANZAの井浦に誘われることになって、そちらの事業に没頭しました。
目標を見失った、と言うことなのでしょうか。
【Transgenderがプロスポーツをする難しさ】
LGBTQ, Transgender, FtM, 現在では、理解は広がりつつあります。けれど、スポーツ、競技にもよるかと思うのですが、特に、僕がやっているような、フルコンタクトの格闘技と言うものをTransgenderが本来の性でやると言うことは、ルール上は難しい。
それは、ホルモン注射などの影響、と言うことでしょうか。
それもあります。でも、基本、まだルールがないんです。誰もやっていないので。だから、分からないと言うのが、正直な所だし、そこの希望を捨てているわけでもないんですが、難しい問題だと思っています。
Transgenderがプロスポーツをやっていく場合は、「生まれ持った性で選手人生を過ごし、そのあとにトランスする」か、「トランスをして、スポーツとは距離を置く、プロとしての道は遠ざかる」と言う天秤をかけなくてはならないんです。
選択肢が二択しか、無い状態なのですね。
僕も、他のスポーツの現状に詳しいわけでは無いのですが。結局、僕は、男性としてキックボクシングをやっていても、プロになれるわけでも無いし、大会にエントリーできるわけでも無い。そこで、また、辞めてしまったんですね。
【心に火が灯るとき】
それからは、SOLUNA ESPERANZAの事業に没頭して。そんな、ある日、たまたま、K-1選手の鈴木孝司選手が、計量の時に、僕らのパンツを履いてくれていて。理由をお聞きすると「純粋にデザインが好きだから」と言ってくださったんです。
翔也さんが、一生懸命にやって来たことが幸運を連れて来てくれたんですね。
それから、鈴木選手の応援に行かせて頂いて。鈴木選手は、普段はとても温厚な柔らかい方なんです。とても、理知的で。その鈴木選手が、闘志をむき出しにして戦っている姿を見たら、もう胸がグワーっと熱くなって来て。やっぱり、自分は格闘技をやりたいと思いました。
それから、自分の気持ちを鈴木選手に伝えたら、なんでもバックアップするよ、と。
本当に、ありがたかったし、嬉しかったです。
鈴木選手との出会いから、ALASのスポーツウエアやキックボクシング練習会に繋がっていったわけですね。
スポーツウエアは、SOLUNA ESPERANZAの事業を始める前から、やりたいと思っていて、実現した感じです。
でも、僕は「スポーツの壁を壊して、純粋に楽しみたい!」と言う気持ちで、やっています。これから、FtM同士の格闘技大会を開催したいと言う夢もあるので、実現に向けて、頑張って活動していきたいです。
--- 2021-12-12 ---
取材:宮川