【多少の下ネタが含まれますので、苦手な方はバックしてくださいね】
贈り物が嫌いだ。受け取り方が分からないから。
サプライズなんかされた日にゃあ、死にたい気持ちになる。 一部の方々には相当反感を買うだろうが、感じのいいカフェのソファー席なんかで電灯が急に消え、ドリカムと一緒に運ばれてくる花火付きのケーキを貰うくらいなら、一生祝ってもらわなくてもいい、そう思って生きてきた。
普通に何かを頂いたら嬉しいし、感謝の気持ちもある。
ただ、サプライズされた時に「え?」と驚きの表情を蓄えながらも口元を両手で押さえ、贈り物が目の前に現れた瞬間、弾けんばかりの笑顔になったり、目に涙を浮かべたり、剰えその表情を維持したまま写真撮影が出来ないってだけ。
でも、サプライズの時にこの行動が出来ないのは極刑に値する罪の重さである。
ハードルが高すぎる。
そんな私は、家族や歴代のパートナーからはパソコンだの航空券だのを伝えて、実用性のあるものしかもらっていない。 もちろん、私もハナっからそんな女だったわけじゃない。「パートナーにアクセサリーを 買ってもらいたい」などと思っていた時期もちゃんとある。
転機が訪れたのは、大学生の時、マスコミ関係の男性とお付き合いをしていた時である。
最初に彼からプレゼントされたのは、ネックレス...というかペンダントだった。彼が食事の席で、某有名セレクトショップの紙袋を出してきた時、私は密かに興奮した。
よく行くけれど、大抵はウインドウショッピングしか出来ない、あの店だ。箱は小さ いからアクセサリーで間違いない。
何度か彼と訪れた時、高価すぎて諦めた作家もののシルバーアクセサリーがあったのだ。鼓動が高鳴る。
蓋を開けた瞬間、私の脳は混乱した。
船越桂の彫刻のような目になった。
そこにあったのは、
飛行石か!?
と思われるくらいの大きさの3cm角のペンダントであった。ブルーの深い石のキャンバス 上に白っぽい赤と緑で、ジャクソン・ポロック並みの抽象的な何かが描かれている。しかもチェーン部分が麻紐のような縄状の作りになっており、留金がなく結ぶタイプである。
これ、まさか持ち歩くアート的な?
そんな訳ないよね?
犬のためのぶよぶよした本当 の前奏曲(違う)的なタイトルついてたりする...?
そもそも作品に疑問を持つことで、それが完結する的な観覧者側の参加を促す前衛的な何か...?
とにかく、ついていけてないとバレてはならないッ!
相当混乱しながらも、私は目の前にいるギャルソンのスーツにヨウジヤマモトのタイをし ている彼のセンスを信じた(バカ)。その場で着けて喜びを表現した。
なんとかならなかったのは、その後である。
いい感じで「こと」をする流れになり、いよいよクライマックスになったとき...彼から貫かれるたびに、飛行石が私の鎖骨の間で揺れてはぶつかる。
ゴツッ!
ゴツッ!
ゴツゴツゴツゴツ!!!!!
痛え! 折れるわ!
...そんなこと言えるわけもなく、粛々とことは進み、私の首元は真っ赤になった。 そんなこんなで、私はプレゼントを選んでもらうということを辞めた。何が欲しいか問われたら、さっさと希望を言うことにしたのだ。 非常に楽になった。
子供が出来て、祝う側の楽しみを知った今は幾分か丸くなって(すみません)、贈り物を 笑顔で贈ることも出来るし、受け取ることも出来るようになった。
次に生まれる時は一部の人のように弾ける笑顔と素直な気持ちで贈り物を受け取れる人になりたい。 それは、やっぱり素敵なことだと思うから。
追伸:表情や態度には出ていなくても、贈り物を頂くと、私の心の中にはたくさんの小人 が出てきて、どんじゃらほい!と焚き火を囲んで楽器を弾きながら歌い、踊りまくっているような図が思い浮かんでいます。要は非常に嬉しいということです。
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