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執筆者の写真Natio Miyakawa

君だけを愛するなんて嘘。君だけを抱きたいなんてのは、大嘘。

更新日:2022年6月8日




20年来の友人と話をしていた時、珍しく過去の恋愛の話になった。

私たちの間では恋愛という話題はもうとっくに瓶詰めされていて、もっぱら仕事のことばかりだったのに。


Aには明らかに両思いだったのに付き合わなかった男性Bがいた。周囲も付き合うのは時間の問題だと思っていた。

私もそう思っていた。そうなったら素敵だなって。

私はどうして付き合わなかったの?と何となく尋ねてみた。

Aが話したがっているように思ったからだ。

自己満かもしれない。


そうするとAから

「何もなかったんよ。好きって言わんやったし、言われんやった」

と言う端的な答えが返ってきた。

フィーリングとタイミングはあったと思うんだけどね、ハプニングがなかったと笑いながら言うAの声を聞きながら、あぁ、恋愛てこう言うわけのわからんものやったと思い出した。

それをコントロールしようと踠くような年齢をAと一緒にいた。


 


それから、しばらくしてふと真夜中にLINE通知が来た。

10年以上ぶりにBから連絡があり「Aは大丈夫なの?」と言ってきた。

訳を問うと、最近何気にポツポツと連絡があるらしい。

私は内容は聞かずに「無理目になってきたら返信のタイミングを遅らせて、最後は無視したらいい」と言った。Bは「それしかないよね」と言った。

Bが困っていたのか、反して何かを期待していたのか、もしくは何の感情も持っていないのか。

私には知る必要がない。

Aが大事だからだ。

どんなに長く一緒に居ても、過去を知っていても、その人の全ては分からない。

他人には絶対に明かさない一面を人は持っている。

それを少しだけ我慢出来なくなった時、人は身近ではない人を頼るものだ。


 

私は友達が少ないし結構な人間に嫌われていることも自覚しているが、たまによく分からない人からポツリポツリと連絡があることがある。

大体夜中に。

夫にセックスを断られたこと

親が死んでしまったこと

いつまでも結婚できないこと

既婚なのに好きな人ができたこと

部下に裏切られたこと

子供が好きになれないこと

借金が出来てしまったこと

引きこもりの兄弟の世話に疲れてしまったこと

プロジェクトを横取りされてしまったこと


だらだらと終わりのない話をしながら、どちらともなく眠ってしまう。

私たちには朝早くからの仕事があるから。

翌日に目を覚ますと大体「聞いてくれてありがとう。ごめんね」と短文が入っている。

今度飲みに行こうと果たされない約束が入っていることもあるが、深入りしないことがほとんどだ。また、しばらく連絡は途絶える。永遠かもしれない。


私たちは大人になった。

大人になったのだ。

コップから水が溢れてしまっとときは受け止めはしないけれど、ただ私はそれを聞いている。

彼/彼女らは誰かを欲してはいるが誰でもいいからだ。

本当に見ていて欲しい人には連絡なんて出来やしない。

ただ、こっそり秘密を話にくる。

多くの人間はそれを業と呼んで笑いに変えたり、何かにクリエイトして金に変換する能力なんてない。

だから、感傷的になって解りもしないことを「わかるよ」と切ない気分で言う。


そんな夜が訪れるたびに私の頭の中にはGALAXIEDEADのやさしいスポンジが流れて、AV監督が女優の引退プロモを作る時のようなエモい気分になる。

目一杯の感謝を込めて。

きれいに、ただきれいなだけの女優が撮られている。

大体、私は翌日の朝にパートナーと開放的で健康的で幸せなセックスをする。

なんて嘘。

雨が降ったら最高なのにと思う。

なんてのは、大嘘。


追伸:エモくなりたい時は聞いてください。



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