初めまして

レベル1

初めまして

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Twitterから流れてくるFTMの肉体美を見ながら、
今日もため息をつく。

右手は携帯をスクロールしながら、
左手はゆっくりと自分の腹を撫でる。


FTMが無視できないクソ面倒くさい「パス度」とやらを、
俺はある時から見ないようになってしまっていた。

これ以上どうにもならないから諦めたと言うよりは、
「パス度」の精度を上げる為に、努力が必要な項目が多すぎたのだ。

そう、戦意喪失したのである。


『生きてるんだから何とかなってるって無問題!無問題!(死語)』
10年も自分をそう鼓舞し続けていた。


『ありのままの自分を愛してくれ。』
いつしか、カッコつけて言う為に組んだ足の上に、腹が乗った。


『お父さんおなかポンポコリーン♪』
はしゃぐ3歳の娘が太鼓を叩くように連打すると、腹が波打った。


諦めたはずなのに、立派に「パス」してくるのは中年腹だけという現実。
いや、ベクトル違うやんけ。

え、待って待って、
俺、こうなる為にいくら払ったと思ってんの。
諭吉が100人くらい逃げ散らかしてんだけど。

正直すぎる子供という存在に恐怖しながら、私はハッとしていた。

まさか、当時の俺も10年後、こんな無様な仕様になっているなどと思いもしないだろう。


『カッコいい、男の中の男になるんだ!』


そう、まさに、そうスワンナプーム空港から離陸する飛行機の中で、
機内の窓からバンコクを見下ろしながら胸に刻んだじゃないか。
―俺はあの時の空を忘れていない-


俺の手帳に、え?習字?ってレベルの太さで書いてたじゃないか。


『人は男に生まれない、男になるのだ。』


紙の裏側の文字が見えなくなってちょっと失敗したなって思ったじゃないか。


『おしりぷりんぷりーん♪』


呆然自失とする俺を尻目に、
無邪気な娘の無慈悲な攻撃は止むことを知らず、照準を腹から尻に変えた。


このままじゃいけない…。
俺はあの日の自分を裏切っている…。


『ぷりんぷりーんぷりーん♪ぽんぽこりーん♪』(娘、総攻撃)


そう思い至るまでに時間はかからなかった。
(え?10年かかってるやん。)


これは、
(長いエピローグですみません)
FTMの皆様が己の筋肉に鞭打ち、磨き上げられた肉体のツイートが届くたびに、
自分の腹から目を背けているぐーたらな筆者が、

ちょっとした工夫でどうにかならないか、
いや、もう何なら金を払ってでもいいんじゃないか、

と、時間と金の間で揺れ動きながら

この物凄く鬱陶しい「パス度」とやらを過去を振り返りつつ、
今を何とかこねくり回せないか試していく実験ブログである。



…え、この話の流れだと、絶対に筋トレを決意する流れでしょ。
と、思われた浅はかなお前。(え?)

お前はFTMの本当の気持ちというものが分かっていないので、
僭越ながらFTMを代表して心から叫ぼうと思う。


『お願いです神様!俺を(何の努力もなしに)男にしてください!!!!!』


いや、だってそうでしょう。
何で努力しないといけないんだっけ。
ホワイ?
圧倒的WHY。

今までの事は許すから、目が覚めたら男でしたっていう夢オチで頼む。
でも起きたらしっかり現実。
365日×30年=10950回の無駄な祈り。
神は死んだ。

そんなこんなで毎朝、絶望する俺に優しくしてほしいので、
ここでの努力は出来るだけ惜しみたいと思う。
(長い言い訳に付き合ってくれてありがとう。)

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暇人

​ぶんぶく茶釜

30代埋没FtM。既婚・子あり。​几帳面な割にだらしないと言う、よくわからないB型。ぼんやり過ごす日々。だいたい暇。お腹が弱いので、この連載もいつまで続くかわかりません。