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​毎週日曜日更新

一節のお裾分け

第9節

時を稼ぐ男 新時代の時間とお金の法則

【時を稼ぐ男 新時代の時間とお金の法則 三崎優太】

青汁王子と聞くとみなさんにはどんなイメージがあるだろうか?
人によっては「嫌なお金持ち」というイメージや、「脱税で逮捕された人」というネガティブなイメージがあるかもしれない。

私は最近まで青汁王子こと三崎優太さんのことをあまり知らなかった。「青汁王子」として華々しく活躍している頃のことは知っていたが、いかんせんテレビを見なかったり海外に行っていたりで、彼が逮捕されていたというのも全く知らなかった。私の中では「イケメン社長でとにかくお金持ち」くらいのイメージだった。

最近になって彼のYoutubeを初めてみた。思っていたよりも「事業家」という感じで話し方も落ち着いており、話す内容もビジネスの話だったので面白く、直近の数回分の生放送のアーカイブを見て、チャンネル登録もした。

そして彼のことに興味を持った僕は、彼の本を買ってみた。私がおばさん以外に興味を持ち、その人となりを知りたくて本を買うのは少し珍しいかもしれない。

青汁王子(三崎さんではなく、敢えてこう呼ぶ)は北海道出身で、アフィリエイトビジネスで社長になった後、東京に上京し、紆余曲折を経て美容健康食品を取り扱い始めた。「美味しい青汁」というコンセプトで大ヒットし、年商はたった3年で130億にもなったらしい。

印象的だったエピソードはいくつかある。

まずお金をたくさん得ても幸せを感じられなかったという話だ。これは私も以前聞いたことがあり、本書にも書いてあったが、ダニエル・カーネマン氏の研究によると年収7万5000ドル、日本円にして約850万円を境にそれ以上収入が増えても幸福度は変わらないというのである。

若くして年商18億の会社の社長になっていた青汁王子は、会社が軌道に乗っているにも関わらず、気分は晴れやかでなかった。息抜きが必要かもしれないと思った彼は、年末年始の休暇を利用してハワイ旅行に行く計画を立てる。付き合っている彼女もいなかったので、バーで誘った女性を連れて行くことにした。

しかしいざハワイに行ってみても、全然楽しいと思えない。それどころか早く日本に帰りたいと思ってしまう。

「年商18億円の社長って言っても、こんなもんかよ。くだらねえな」

不満ばかりが募り、気分は最悪だった。

そんな時下腹部に痛みを感じ、トイレに駆け込み用を足すと、出てきたのは大量の血尿だった。そして血尿の原因は、爛れた生活による性病だったという。

便器にこびりつく血尿を見て「いくらお金があっても満たされないなら、お金のことは考えずに他のことに興味を持った方がいいんじゃないか…。」そう思った彼は、帰国後に血尿の原因が性病だと知って、吹っ切れる。そこでお金一辺倒の生き方をやめたのだという。

第7回で「化城」の話をしたが、この話にも通じるところがある。要はお金は手段に過ぎないので、それだけでは生きて行くモチベーションにならないのだ。

本書の中で青汁王子は「お金を「死に金」にするな。「生き金」にしろ」という話を繰り返し書いている。要は無駄遣いではなく投資しろということなのだが、「生き金」「死に金」という表現はわかりやすい。


そんな青汁王子だが、やはり昔からお金の使い方はうまかったようだ。

高校生だった彼は、ある日お金がなく、一攫千金を目指してパチンコ屋に行く。

するとなんと500円が16万円になって返ってきたのだという。高校生にとっては大金である。

その大金を彼は「天から降ってきたようなものだから、自分のためになるものを買おう」と考え、12万円のパソコンを購入する。この発想はすごい。

そのパソコンでアフィリエイトビジネスをはじめ、高校生にして月収400万円を稼ぐようになったのだという。スッゲェなぁ。

最後にパチンコ絡みで、面白いなと思ったエピソードが一つ。彼はパチンコで「運」を調整しに行くのだという。パチンコなんてまずそうそう当たらないので、そこで負けることで他のところで勝ちに行くという願掛けらしい。その発想はなかった。


兎にも角にも、自分とは全く違うタイプの人の話は読んでいてとても面白かった。だから読書は楽しいの。お金への執着が薄めな私も「ガッツリ稼いでみてぇ〜!」という熱い気持ちになった。

お金をガンガンに稼ぐ大胆な事業家である顔に、時折見えるどことなく繊細なところが魅力的な人だと感じた。

この連載では珍しく、タイムリーな本について書いた。読みやすい書き方なので1時間程度で読めるのと、書店でも売り切れが続出しているらしいので、ぜひ一度読んでみてほしい。

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こうしろう

会社員・ライター・kamenotsuno.com運営

1992年 鹿児島生まれ。青年海外協力隊に従事するなど、ユニークな経歴の持ち主。自身のサイトkamenotsuno.comを中心に、you tubeにてカメのつのチャンネルの配信やno poleの第二期メンバー等、FtMに関する諸問題について、精力的に活動を行なっている。

好きなものは、カメとノート、カレー、黄緑色のもの、などなど。

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