​毎週日曜日更新

一節のお裾分け

第5節

あなたにとってのガラス板はなんだろう?

【新自分を磨く方法 スティービー・クレオ・ダービック】


今回の一節のお裾分けは、またちょっと自己啓発チックでこっ恥ずかしい限りなのだが「新・自分を磨く方法」という本からの引用だ。

私はこの本を、大学生の頃に近所の古本屋で100円+税で買ったと記憶している。

なんの宛もなく、ただただ本屋に行くことがある。その時もふらっと入った古本屋で、なんとなく本棚を見ていて、なんとなくその本を手にとったんだと思う。

大した期待もなく買った100円(しかもタイトルが怪しい)の本が、自分にとって支えになるとは全く思っていなかった。

本の中では当たり前といえば当たり前かもしれないような、自分を磨く方法が見開き1ページ分くらいで書かれている。

「ビジョンを持つ」「変化を受け入れる」など、どん底にいる状態なら煙たすぎて近寄りたくもないような、シンプルで力強いタイトルが並ぶ。


私が一番好きな話は、この本の前書きの後、1番初めに出てくる「自分を信じる」に出てくるエピソードだ。

「ノミは、あの小さな身体で1フィート(※約30cm)以上ジャンプすることができる。ところが、そのノミをビーカーに入れてガラス板で蓋をすると、飛び上がってはぶつかるというのを何度も繰り返すうちに、やがてガラス板の少し下までしかジャンプしなくなり、それは、ガラス板を取り外しても変わらないという。

もう、障害はないのに、小さなビーカーの中でたかだか数インチのジャンプを繰り返すのだ。自分にはその何十倍もの力があるとは夢にも思わずに。」

魚のカマスでも似たようなたとえ話があり、聞いたことがある人もいる有名な話かもしれないが、私はこの話をこの本で初めて知り、とても好きになった。当時は塾講師のアルバイトをしていたので、「自分になんかできない」と諦める子どもたちを励ますのにも、よく引用させてもらった。

その後に続く問いかけに、私は自分を振り返らざるを得なかった。

「さて、あなたにとってのガラス板はなんだろう?あなたは、いったい自分の力の何分の1のところにガラス板をおいてしまっているのだろう?そしてそれは本当にあるのだろうか?」

性同一性障害だから、FTMだから、生物学的な性が男性ではないから。

そういった理由で私が今諦めようとしている様々なことは、本当に諦めなければいけないことなのだろうか。
そんなガラス板は本当にあるのだろうか。

2004年の特例法で、戸籍を男性に変えることが可能になった。近年急速にLGBTという言葉も普及し、偏見を持つ人も少なくなってきた。精子提供で父親になるFTMも少なくない。保険適用で性別適合手術もできるようになっている。

かつては確実に存在したガラス板は、実は先人たちの手によって少しずつ取り払われている。
自分が否定されていると思ったら、実は自分で自分を否定しているだけで、今はないがラス板を恐れて飛べずにいるだけかもしれない。


この本には出てこなかったが、ノミの話には続きがある。数インチしか飛ばなくなってしまったノミをもとに戻す方法についてだ。

ビーカーの中に、ガラス板のことを知らない新しいノミを入れる。するとそのノミは当然のようにジャンプをしてビーカーから抜け出せるのだが、ビーカーにいた他のノミたちまで、それを真似して飛んでみるようになる。


誰もが本来の力を発揮するためには、お手本がいると手っ取り早いのかもしれない。

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こうしろう

会社員・ライター・kamenotsuno.com運営

1992年 鹿児島生まれ。青年海外協力隊に従事するなど、ユニークな経歴の持ち主。自身のサイトkamenotsuno.comを中心に、you tubeにてカメのつのチャンネルの配信やno poleの第二期メンバー等、FtMに関する諸問題について、精力的に活動を行なっている。

好きなものは、カメとノート、カレー、黄緑色のもの、などなど。

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