
毎週日曜日更新
一節のお裾分け
第46節
「身の丈」のストレッチをする
【即答力】
松浦弥太郎著
今回のお裾分けは、暮らしの手帳の編集長である松浦弥太郎さんの『即答力』からの引用である。この本は最近上司と書店に行った時に、上司が「この本最近読んだけど、結構面白かったよ」と言っていたので、その場でKindleで買ってみたものだ。
平積みで置かれていたのでそこそこ有名で話題になった本なのかもしれないが、私は知らなかったし、『即答力』というタイトルと表紙のデザインだけ見ても僕は手にとって読むことはなかっただろうと思う。そういう偶然も、最近は本を選ぶ上で大事にするようになった。
本の内容自体は、仕事をしていれば割と当たり前の内容であるように思う。だがこのあたり前の感覚を適切に言語化し、誰にでもわかる言葉で表現しているのがこの本の良いところだと思った。
この本の中でいう即答力とは、即答する姿勢を持つことであると言う。
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スキルの差がないのに、現実として、選ばれる人と選ばれない人という違いが出てきます。チャンスを手にする人とチャンスを手にしない人もいます。その違いはどこから生まれてくるのでしょうか?分かれ道は、「常に即答するか、しないか」ーただそれだけです。
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だからといって分からないことに適当に答えたり、とりあえず返事だけするというものではない。小さなチャンスも一つ一つ答えていき、誠実で真っ先にボールに飛びついていくことで、確実に成長していけると言う。
また筆者は、チャンスを逃さないためには好奇心と観察、仮説が欠かせないとしている。好奇心を持ち、よく観察し、チャンスに気がつくと同時に、いろいろな仮説を立てて、即答するための瞬発力を養うことが大切なのだ。
そして良いなと思ったのは、社会の歯車になるということをポジティブに表現しているところだ。
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30歳を過ぎたら、ぐんと伸びていく人とそうでない人に分かれていきます。豊かな人生を目指すのであれば、自分を“世界という精緻な機械を構成する小さな歯車”だと考えてみましょう。そのうえで、自分という歯車を、どう使うか考えてみるのです。
「歯車になる」というと抵抗を感じる人がいるかもしれませんが、例えばその機械が、時計だったらどうでしょう。時計というのはごく小さな一つのパーツが欠けていても、正確な時を刻んではくれません。多種多様な部品や歯車の一つひとつは微細ですが、それぞれにちゃんとした役割があるのです。
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私が特に実践したいと思ったのは「身の丈」をストレッチするということだ。身の丈を知ることは大切だが、いつまで経っても自分の身の丈だけの世界で考え暮らしていると、それ以上にはなれない。少しだけレベルの高いことに自分という歯車を合わせていき、それが噛み合うようにすることで成長が見込める。
この本を買った日、私は上司に本を買ってもらっていた。企業の成長戦略の話と、会社の人材開発評価の本で、どちらも私の身の丈よりは少し頑張らないと難しい本だった。それこそ自分では買うことはなかっただろう。それでもそこでストレッチすることで得られるものはあるだろう。そもそもそういうふうに成長に投資をしてもらえていることを、とてもありがたいと思う。
どうしてそういうふうにしてもらえるのだろうと考えた時に、これもある意味即答力の結果だったのではないかと思う。上司が面白かったという本をすぐに買ってみたというのは、今回だけの話ではないし、何かを依頼されたら即答を繰り返してきた。本の内容の多くは当たり前のことで、それでも確実に実行できていないことも多かった。
30歳になってからしばらく経って、もう後100日もしないうちに31歳になる。改めて基本的な、当たり前のことを確実に実行したい。そしていつまでも即答と、20代の自分より若い人に負けない好奇心や向上心を持ち続けたいなと改めて思わせてくれる本だった。