
毎週日曜日更新
一節のお裾分け
第38節
物事は、2割が完璧なら大体完成している
【最強知名度のつくり方 売上98%減からのV字逆転を実現した必勝術】
西村誠司著
た~んたんにしたん たたんたん
たん たたん にしにし にしたん
に~したんたん に~しにし たたんたーん にしたーん!
にしたんクリニックへGo!
おそらく多くの方がこのCMを見聞きしたことがあると思う。電車の中でも、郷ひろみさんと3時のヒロインのメンバーの写真のポスターを見かけた。にしたんクリニックが何のクリニックなのかは知らないけど、名前を聞いたことがあると思う。そしてイモトのWi-Fiも、使ったことがなくても聞いたことがある方が多いのではないだろうか。
にしたんクリニックはPCR検査が有名で、イモトのWi-Fiはその名の通りのWi-Fiレンタルサービスの事業だ。その2つが同じ会社によって運営されていることを私は知らなかった。両方ともエクスコムグローバル株式会社によって運営されている。
今回のおすそ分けはエクスコムグローバル株式会社代表取締役社長の西村誠司さんの「最強知名度のつくり方 売上98%減からのV字逆転を実現した必勝術」からの引用だ。
私がにしたんクリニックとイモトのWi-Fiの運営会社が同じだということを知らない上に、サービスを利用したことがないにも関わらずサービス名をしっかり覚えているという事実こそが、タイトルにもある「最強知名度」を語れる何よりの根拠だろう。
コロナの影響で海外旅行をすることがなくなり、イモトのWi-Fiの需要がなくなってしまったことで売上が98%減った後、PCR検査事業で一気にV字逆転を果たした知名度拡大のエッセンスについてのテクニックが紹介されている。そもそも会社でマーケティングを担当する上で、ブランディングの勉強にと思って読んだ本だった。当初の目的の通りテクニックももちろん勉強になったのだが、個人的にはにしたんクリニックやイモトのWi-Fiの成功の裏側や、西村社長自身の生い立ちやこれまでの経歴、そして社長が考える今後の企業ビジネスの行方についての内容がとても興味深かった。
もともとはボイスメールの事業で大失敗をしている西村社長は、Wi-Fi事業に手を出す時にボイスメール事業がなぜ失敗してしまったのかを改めて考えてみることにしたという。
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・ボイスメールの品質に問題があったのか
・価格が高かったのか
・サービスに革新性がなかったのか……
いずれも要因の一部ではあるかもしれませんが、本質的な理由とは思えませんでした。思案の末、私がたどり着いた結論は「私(当社)が誰にも知られていなかったから」でした
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結局のところ、知名度がなければあまり話は聞いてもらえないし、逆に知名度さえあれば「あ、なんか聞いたことある会社だからきっと有名な企業なんだろうな」ということで営業の話も聞いてくれるかもしれないのだ。そのために当時すでに海外を飛び回っているイメージがあり、かつ御茶の間からも親しみがあるイモトアヤコさんを起用し、「イモトのWi-Fi」という名前にした着眼点は本当に天才的だ。
思いついたら素早く事業化し、ライバルが少ないうちに知名度を獲得することが重要だという。そして知名度を武器に影響力を高めていくため、全体の2割が完璧になったら動き出して良いというのが西村社長の主張だ。
「全体の数字の8割は、全体を構成する要素のうちの2割の要素が生み出している」という有名なパレートの法則は、西村社長流の解釈では「物事は、2割が完璧なら大体完成している」となる。ささっとスタートし、失敗しそうになったらすぐに撤退する。これでトライの回数を重ねることが重要なのである。
私も一般的な人に違わず、2割だけの完成では足りないと思い、動き出すのに腰が重くなってしまうことがある。2割の完成でとにかく動き出す。その方が失敗の数も成功の数も増えて成長できることを、改めて肝に命じようと思った。