毎週日曜日更新
一節のお裾分け
第33節
ストックが多い人ほど本を速く読める
【どんな本でも大量に読める「速読」の本】
宇都出 雅巳
私は割とよく本を読む。最低でも週1冊以上は読むし、月に2、3回位本屋で本を買い、Kindle Unlimitedで興味のある本を漁ってみる。日本人の約47%は1ヶ月に1冊も本を読まないということなので、最低でも月に5冊ほど読む私は本を読む方の人だと言っても良いと思う。
私がもともと本を読む人だったかというと、全くそんなことはなく、小、中学生の頃の図書カードはほぼまっさらだったし、借りたとしてもマンガだった。図書カードよりも保健室の怪我の記録カードが埋まるようなタイプだった(病気はほぼなかった)。たまに家にある本を読む程度で、年に数冊しか読まなかったと記憶している。
本を読むようになったのは特に大学生になってからだ。大学生になって本格的に性別に悩んだり、生き方を考えるようになってから本を積極的に読むようになった。きっと本の中に答えを探していたのだと思う。
たくさんの本を読むことで、自分では思いつきもしなかったことや知らない世界のことがわかる快感を知り、もっともっとたくさん本を読みたいと考えるようになっていった。また、卒論を書いているときなどはたくさんの本を読む必要があり、どうにかして速読できるようになりたいと考えた。
そこで私は本を読む方法についての本を読んだ。その中の1つが今回紹介する『どんな本でも大量に読める「速読」の本』だ。この本が「速読」への考え方として1番腑に落ちる本だった。
今回のお裾分けは次の一節だ。
「ストック(知識・情報・経験など)が多いほど本を速く読める」
つまり、結局のところ知っている情報が多いほど速く読めると言うことだ。速読は目の動きを鍛えたり、ページのめくり方を工夫したりするよりも、知識をつけることで読むスピードが上がるのである。
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に上も三の石年
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これを見て、ほとんどの人は正しく並べ替えると「石の上にも三年」になることがほぼ一瞬で分かるだろう。それは、あなたの頭の中に「石の上にも三年」ということわざのデータベースがあるからだ。
次はどうだろうか
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て吹に膾りく羹を懲
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これは先程よりも時間がかかるか、分からなかったかもしれない。それはあなたの頭の中のデータベースに「羹(あつもの)に懲りて膾(なます)を吹く」という言葉がないからだ。この例題は本の中でそのまま出てくるもので、私はわからなかった。
また、読むのが遅い人の特徴は、文章を頭の中で音にしてしまっていることも挙げられる。音にしなくても意味は何となく取れる。まずは「わかろう」という意識を手放して、音にしないで見ることが速読の核心だと筆者は言う。先程の文字の並べ替えでも分かるように、「石の上にも三年」というすでに知っている言葉であれば、パッと見ても意味を取れるのである。
わからなくても先に進み、大量に回転することが大切なのだ。速く読むから大量に読めるのではなく、大量に読むから速く読めるようになる。ということである。この本では「高速大量回転」と呼んでいる。
この本の中で他にも面白かったのが、積読している本がある場合は「タイトルが見えるように積んでおく」というものだ。タイトルも高速大量回転することで、その本に対し親しみを感じ、本との距離が縮まるという。これも私は実践していて、勢いで買ったけど読めていない本は、よく見える位置に置いて、気が向くのを待つようにしている。
速読に関する本の中では、私にとってはこの本が最もわかりやすかった。魔法のような方法や怪しい方法ではなく、最も実践に近い本だと思うので、読書量を増やしたい方はまずこの本を読んでみてほしい。
こうしろう
会社員・ライター・kamenotsuno.com運営
1992年 鹿児島生まれ。青年海外協力隊に従事するなど、ユニークな経歴の持ち主。自身のサイトkamenotsuno.comを中心に、you tubeにてカメのつのチャンネルの配信やno poleの第二期メンバー等、FtMに関する諸問題について、精力的に活動を行なっている。
好きなものは、カメとノート、カレー、黄緑色のもの、などなど。