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一節のお裾分け

第21節

水族館のガラスは取り替えられるが、人の評判は取り替えることができない。

【LIFE 人間が知らない生き方】
麻生羽呂 × 篠原かをり



今回お裾分けをするのは動物の本からの引用だ。週刊少年サンデーで連載をする漫画家の麻生羽呂さんと生物が大好きなタレントの篠原かをりさんの「LIFE 人間が知らない生き方」という本である。ずっと気になってはいたが、最近ようやく読んだので紹介したい。

少し話が逸れるが、この本が書かれた頃の篠原かをりさんはまだ大学生で、割と女性らしい格好をされていた。近年は中性的で垢抜けた服装やメイクをされていき、そうした変化が出始めの頃、「あ、この人は『こうでなければならない』から解放されて、自分にとって心地の良い姿にアジャストすることができたんだな」とまるで後方腕組プロデューサー面で見ていたのだった。自分を楽しむことができているというか、ファッションって素敵だなと思える出来事だった。

話を戻そう。私は動物の中ではカメがダントツで大好きだが、他の動物も全般的に大好きである。LIFEでは動物たちが厳しい自然界でどのように生き残っているのかを、麻生羽呂さんの漫画と篠原かをりさんの解説で描いた「動物のビジネス書」だ。

キリンやライオン、ペンギンなど、様々な動物の豆知識が学べる上に、彼らが生き残るために採ってきた戦略を知ることができて、非常に面白いのである。興味深いエピソードがたくさん出てくるのでぜひ手にとって読んでみてほしい。

今回私からはラッコの話を共有したいと思う。

皆さんはラッコを生で見たことはあるだろうか?私は子供の頃に地元の水族館で見たことがあったので、ラッコは水族館ならどこでも見られるものだと思っていた。

しかし、現在ラッコは激減している。2022年現在、国内にはなんとわずか4頭しか残っていないのだという。福岡県のマリンワールド海の中道と、三重県の鳥羽水族館、千葉県の鴨川シーワールドとの3か所のみでしか、生きて飼育されているラッコを見ることはできないのだ。ちなみに本書は2016年の本で、そこには13頭しかいないと記載されているので、この6年間で半分以下になってしまったということになる。

そんなラッコのエピソードとして、こんな内容が紹介されている。

「他人より活躍して認められたい。
他人より良いものが欲しい。
これら願望は、人間が生きる上での原動力の一つである。

北海のアイドル、ラッコ。
ラッコは霊長類以外で唯一道具を使う哺乳類だと言われており、お腹の上に置いた好物の貝を、平たい石を使って器用に割る。

気に入った石が見つかると、脇の下にあるポケットのようなくぼみに入れてどこへでも持っていく。

ラッコの自慢はこの石である。お気に入りの石を、仲間のラッコの鼻先に高く掲げアピールする。石へのこだわりは極めて強く、お気に入りの石をうっかりなくしてしまうと、食事も喉を通らないくらい酷く落ち込み、代わりの石を与えられても拒むという。

水族館にいるラッコたちは、高く掲げた石で窓ガラスを叩く。割れることはないが、長年続けると細かい傷がつき、曇ったように見える。

他の海洋生物の水槽とラッコの水槽を見比べると、ラッコの水槽だけやたら曇って見えづらいことがわかるだろう。曇った水槽から見えるラッコはどことなく小汚い印象すら与える。

自慢も過ぎれば、周りが曇って見えなくなる。すると徐々に人が離れて行く。

水族館のガラスは取り替えることができるが、人の評判は取り替えることができない。ラッコはそんな大切なことを教えてくれる。」

非常に興味深い。脇のポケットに小石を入れて持ち運ぶのも、お気に入りの石をなくして落ち込んでしまうというのも、何とも可愛らしい。

つい最近、私も人から自慢と言うか、本人はもしかしたらそんなことはないのかもしれないが、ちょっと嫌な思いをしたことがあった。正直なところ、こうやって人は離れていくのだろうなと思ったので、タイムリーな話だったのだ。

他人のフィルターにつけた傷は、こちらから取り除くことは極めて難しい。人の振り見て我が振り直せ。ラッコにそれを思い知らされるとは思ってもみなかったが、気を引き締めよう。

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こうしろう

会社員・ライター・kamenotsuno.com運営

1992年 鹿児島生まれ。青年海外協力隊に従事するなど、ユニークな経歴の持ち主。自身のサイトkamenotsuno.comを中心に、you tubeにてカメのつのチャンネルの配信やno poleの第二期メンバー等、FtMに関する諸問題について、精力的に活動を行なっている。

好きなものは、カメとノート、カレー、黄緑色のもの、などなど。

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