​毎週日曜日更新

一節のお裾分け

第19節

悩みの"ジャグリング"をやめる

【あなたを天才にするスマートノート】
岡田斗司夫

今回は岡田斗司夫さんの『あなたを天才にするスマートノート』からのお裾分けだ。最近では「手書きで文字を書かないから漢字を忘れた」なんて人もいるようだが、僕はこの本に影響を受けてから文字を書かなかった日はないんじゃないか、と言えるくらい、毎日ノートになにか書いている。

岡田斗司夫さんは「スマートノート」と呼んでいるが、なんだかちょっと小っ恥ずかしいので僕はこのノートに「頭ん中ノート」という名前をつけて(それも恥ずかしいかな?)、思ったことを割と何でも書いている。メモ程度のことから、何か見たり聞いたりしたことへの考察、仕事の戦略、人生設計やお金の計算などなど、、、とにかく本当になんでも書いている。おそらく7、8年前に読んでいて、その頃からの習慣だ。

この本では、とにかく何かを毎日書くことを勧めている。はじめは5行の日記から始める。そして徐々に書く量も増やして、そのうちまるまる1ページ分を埋められるようになる。僕はもともと何かを考えてメモするのが好きだったので、5行日記をすっ飛ばしてまるまる1ページ書くところから始めた。

まるまる1ページといっても、スマートノートは見開き1ページを使うところがポイントだ。まずは右側のページから埋め始めるのである。右側から書き始めて、左側が空白のままあいていると、何かを書いて埋めたくなる。その「空いているから埋めたくなる」という心理をノートを書くエンジンの1つとして使っているのがこのノート術の面白いところなのだ。

継続的にノートを書くようになったのはこの本の影響なのだが、僕が最も影響を受けたのは「悩みの"ジャグリング"をやめる」という内容である。

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アンドリュー・カーネギーというアメリカの有名な実業家の話だ。ある夜のこと、彼はあまりに多くの悩みを抱えてノイローゼのようになり、自殺まで考えていた。

「不倫相手の女性から連絡が入り、子供を認知して欲しいと言ってきた」
「親戚の全員が問題を起こしていてもみ消さなきゃいけない」
「ろくでなしの甥っ子が警察沙汰の事件を起こし、身柄を引き取りに行かなくちゃいけない」
「政治家からの不当な圧力で、会社が存亡の危機に陥ってる」
「妻から今夜食事に付き合ってくれなければ離婚すると言われてしまった」

もうダメだ、限界だと思った彼は、遺書を書いて自殺しようとする。机の引き出しを開けると、引き出しにはもちろん護身用の拳銃が入っていたのだが、その下には自分の名入りの立派な便せんセットがあった。

「ああ、自殺するんだったら遺書を書かなくちゃ」

遺書を書く段になってカーネギーは考え込んだ。

「死にたいぐらい悩んでいるんだから、さぞかし自分には深い悩みが多いんだろう。いったいいくつぐらいあるんだ?」

そこで彼は、思いつく問題や悩みをすべて書きだした。

当時、カーネギーは「世界で一番忙しい男」と言われていた。

仕事だけでなく、家族関係を含めると、悩みは絶対に何百もあるに違いない。ひょっとしたら1000個ぐらいあるんじゃないか?

しかし箇条書きにしてみると、60個ぐらい書いたところで鉛筆がピタリと止まったという。

思い出して考えて、とりあえず「もっと悩みはあるはずだ」と些細な問題まで書き出す。しかし、あんなにたくさんあると思っていた悩みは、結局70いくつぐらいしかなかった。

結局、70個の悩みを順繰りに次から次へと考えていたことで、自殺をしようと考えるほど追いつめられていたのだった。悩みを書ききった瞬間、今夜中に解決できることはほとんどないことに気がつく。

カーネギーは悩みを書いた便せんを問題ごとにちぎってカードにし、それを仕分けした。 「明日できること」「来週以降に着手できること」「来月でも間に合うもの」「解決できないこと」 という4つの山に分けて、その4つ目の山はそのままくず箱に捨てた。

残った3つの山、自分の悩みを書いた便せんの切れ端をカーネギーは大事に机の引き出しにしまい、そのまま彼は奥さんと夕食へと出かけた。 もうすっかり、拳銃や自殺のことなど忘れて。

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この話は非常に印象的だった。岡田さんもこの話にショックを受け、この複数の問題を頭の中でぐるぐると回してしまっている状態を「ジャグリングしている」と呼んでいるそうだ。

これを読んだ当時の僕も、自分の性別や将来のこと、アルバイトのことなど、たくさんのことで悩んでいると思っていたが、悩みを一旦置かずにジャグリングしてしまっていたがために、なんだか悩みがたくさんあるように思えるだけなのだと気がつくことができた。

だから僕は同じように性別に悩む人には「まずは悩みを全部紙に書いて整理してみて」と伝えている。一つ一つ書いていくと、実はそれは性別の悩みではなかった、ということも珍しくない。

この本が出てから9年くらい経っているが、未だにやっぱりスマホよりスマノかもしれない。

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こうしろう

会社員・ライター・kamenotsuno.com運営

1992年 鹿児島生まれ。青年海外協力隊に従事するなど、ユニークな経歴の持ち主。自身のサイトkamenotsuno.comを中心に、you tubeにてカメのつのチャンネルの配信やno poleの第二期メンバー等、FtMに関する諸問題について、精力的に活動を行なっている。

好きなものは、カメとノート、カレー、黄緑色のもの、などなど。

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